クリヤマコト(P)
Q9;これからjazzを聴いてみようという方に、jazzの良さを教えて下さい。
┣一般にジャズの魅力というのは、西洋音楽の決まり事へのアンチテーゼという部分です。12音階、和声、っていうのが西洋音楽の基本だけど、アフリカ音楽にはそういう決まり事がなかった。西洋では濁りのない清らかな声が美声とされたけど、アフリカではどことなく濁ったような太い声が美声とされた。西洋ではドミソを基本とした和声的な響きを好むけど、アフリカでは緊張感を生むような濁ったハーモニーが好まれた。西洋音楽では整った2拍子、3拍子、4拍子などが好まれたが、アフリカでは複雑に組合わさって絡み合ったポリリズムが好まれた。アメリカに渡った黒人たちも、そんなアフリカ人の嗜好を受け継いでいた。彼らが西洋の楽器を使って、西洋音楽を自分たちの好みにアレンジして生まれたのがジャズ。だからジャズの魅力は、生々しい人間味の溢れる力強い音色や歌声、テンションと言われるちょっと不協和なハーモニー、独特のうねりを持つリズムのグルーヴというわけ。
もう一つ重要なのはインプロヴィゼーション=アドリブ。西洋クラシックの多くは細かく譜面に書いてある音符をそのまま演奏するけれど、ジャズの譜面はメロディーと最低限のコード進行、イントロやエンディングの決まり事しか書いてない。最低限の決まり事だけがあって、それ以外のことは全て自由に演奏していい、ってとこがジャズの最大の魅力。だからプレイヤーの度量やセンスが全部ダイレクトに反映される。でも「ジャズとは何か?」っていう定義は意外に曖昧で、上記のような要素を持つ音楽をすべてジャズと呼ぶ場合もあれば、過去のディキシーランド〜モダンジャズまでのスタイルのみをジャズと呼ぶ場合もある。ぼくは前者の解釈でジャズやってます。
「音楽」が求めるものを体得するには、自分が好きな音楽にひたすら打ち込むのは重要だと思う。何より音楽に対して謙虚であること。音楽とは計りしれない偉大なモノだってことをまず知っていて欲しい。音楽家なら当たり前のことだけど。
次へ
インタビュー目次へ
jazzsmileTOPへ