高橋節(とも)的jazzsmile
第3回(2005/3/9)「国際的黒人音楽論」(閑話休題 編)

もし自分が、ある日突然、肌の色が違うというだけで、異国に連れて行かれて奴隷扱いされたらどうでしょうか…。「私達だってあなた達と同じ人間なんだ、私達の何があなた達に劣るというんだ、冗談じゃない」と怒りをもって思うことでしょう。そしてその理不尽な環境に立ち向かう為に、ふるさとの文化や思想を、きっとアイデンティティーのよりどころにするのではないでしょうか。…しかし、そこで彼ら黒人達の偉かったところは、そのアイデンティティーのよりどころを自分たちの環境から外に向かって発信していくこと、分け与えてとけ込ませていく生き方を選んだところでした。それがブルースやジャズといった黒人の音楽というものの本質なのだと感じます。

私は現代においても「神様からの贈り物だ」として大切に受け継いで社会に影響させてきた、黒人の「太鼓のリズム」というものに引かれてきました。同時に、ポジティヴなエネルギーがある美意識や文化への考え方自体に興味を引かれて、「人はなぜ音楽に引かれるのだろうか?」「音楽と一緒に生きながら、人と関わるということって、どんなことなのだろう?」…そんな疑問を絶えず与えられ続けています。人は皆、誰もが自分であることを実現させながら生きていきたいと思う筈です。宗教が違うから、肌の色が違うから、身体的特徴、持っているものが違うから…それは優劣の物差しや、人間の権利にはなり得ない筈です。

人は常に特別で安定した環境、「位置」に身を置いていると信じたいが為、それを証明する角度を持ちたいと願うものです。そして差別や偏見、戦争といったトラブルも生みます。しかし実際には「人、一人、生きても100年」です。今日、ジャズは世界中で様々に影響を与え続けています。その裏側に持つ人間自身の尊厳の「在り方」についてを提言しながら、関わる全ての人に「踏み出す勇気」を与えるものが、ジャズのマインドなのだろうと感じ得たことが、私が音楽から学んだ最も大きな価値観なのではなかろうかと思います

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