高橋節(とも)的jazzsmile
第1回(2004/10/17)「女性奏者の世界」

私はとにかく小さい時から、お腹が空いていても音楽を聴いていれば幸せな子供でした。レコードプレーヤーが先生でもあり、友達でもあり、自分の見たこと のない夢のような世界を見せてくれる「玉手箱」のような存在だったことを記憶してます(もうひとつは近所の山。ノザルのように遊んでいたなぁ)。

その頃は勿論、CDとかMDとかは無いですよ(笑)、レコードにソノシートです。家に『レコード絵本』という、ソノシート(※ペラペラしたオマケでよく 流通していたレコード)の付いた「童話名作全集」というのがあって、児童合唱の名門・西六郷少年少女合唱団のパーフェクトな童謡演奏と、プロのナレー ターによる朗読をミックスした、テンポ良いコンビネーションで、絵本を眺めながら、洋の東西名作童話がミュージカル仕立てで鑑賞出来るのであります。

絵本の巻末に挟んであるソノシートをプレーヤーに置き、レコード針を「そっ」と乗せ、音楽が飛び出してくるのを待ちわびる瞬間は、幼児ながらの格別な高揚感。そして針が内側でくるくると回っていることも気が付かない、夢の世界に触れた者に与えられた、至福の余韻。…そう、それは何かに似ていることを思い出しました。ジャズのアナログLPを鑑賞する時の、まさに「その」感じであります。しかしその後の「童話名作全集」は「家庭のクラシック全集」にとって代わり、ジャズが登場するのはもっとだいぶ先の話です。

姉がピアノを習っていたので、羨ましかったのか、先生が家に来てレッスンが始まると、自分も混ざりたくて邪魔に入ったりして。「自分も習いたい、ピアノが弾きたい」と言い出したのは4歳のころでしたから、すると、3歳くらいの時に、受け手に甘んじておれず、レコードの裏側に入る野望を抱いていたのでしょうか。「三つ子の魂、百までも」…。勿論、可能であるなら100歳までも演奏していこうじゃないか。3歳の頃に自分が感じていた「夢のような世界」の内側の人間に今、私はなった訳なのだけども、その時の魂は、忘れてはいません。あの頃となんら変わらず、顔をほころばせながらLPレコードに針を落とす自分に気が付くときが、いまだにあったりなんかしますから…。

第2回へ
前のページへ

jazzsmileTOPへ